映画館に住みたい。

邦画を映画館で観るのが大好きな40代がtwitterでネタバレを書けずにblogへ流れてきました。

ネタバレあり/まともじゃないのは君も一緒

『まともじゃないのは君も一緒』(通称:まときみ)がめちゃくちゃいい!
試写会で2回観て、3/20にも観ました。

「映画は映画館で」と思っている私ですが、そんな中でも「これは絶対映画館!」という映画は「アクションなど画が派手な作品」「音を楽しむ作品」そして「周囲のお客さんの反応も含めて楽しむ作品」。「まときみ」はまさに「周囲のお客さんの反応も含めて楽しむ作品」。もうさぁ、笑いが堪えられないの!つい「ぶふふふふ」って笑っちゃう。周りのお客さんも笑ってるし。公開からあまり時間が経っていない、お客さんが多いうちに観るのがいいと思う。

音という点でも映画館がオススメ。試写会の会場は音がさほど良くなかったので今ひとつ分からなかった部分が、映画館でははっきりと聴こえて、非常に気持ちよかったです。

自分が普通だ、と思っている人はどれくらいいるんだろう。
私は普通ではないと自覚している部分がいくつかあって、普通に近づこうと努力をしたって維持するのは到底無理と知ってしまったので、普通を目指す若者が微笑ましく思えるし、無理しなくてもいいんだよ…とぽんぽんと肩を叩きたくなるような気持ちで観てました。

とりあえず、思ったことをばーっと(以下、ネタバレ含む)

 ■嘲笑ではない、と私は思いたい。
「普通」とは少し違う大野を嘲笑しているわけではないと私は思いたいです。あくまで、大野と香住が噛み合わせてみようとして噛み合わないことが面白いんだと思いたい。そのままの大野をとても魅力的だと感じるので、そうであってほしい。

■「数学って冒険なんだよ」に泣く。
ほんとに大野って魅力的!と思った台詞のひとつがこれでした。
答えを探して闇の中を歩いてふっと明るくなる感じは数学に限ったことではなく、いろいろな学問であることだし、私は仕事の中でもそう感じることがよくある。知りたいことを探究する楽しさを素直に表現する大野を眩しく感じるとともに、私も楽しいと素直に言える人でありたいと思いました。

■「定量的に言ってもらえるかな」が刺さる。
個人的な話ですが人事評価の中に定量的に書かなければならない項目があるので、「定量的に言ってもらえるかな」が刺さる、痛い、言えないよぉぉぉ。(事務職なので定量的と言われると結構困る)
でも、もし恋人が頑張って定量的な愛のことばをくれたら、それはかなり嬉しいかもしれない。大野もいつか定量的な愛のことばを囁いたりするんだろうか…。

■白衣がよく分かんなくて。
予備校の数学の先生が白衣を着ているというのが違和感があり、深い意味があるのかと考えてみたけれど、単に「先生」であることを分かりやすくする以外に意味はなさそうですね。

■香住がブラックコーヒーを飲んでいるのがいい。
同級生と一緒にいるときに他の子はカフェラテ、抹茶ラテ、アイスティーなどを飲んでいるんだけど、香住だけ、ブラックのアイスコーヒー。周囲に馴染んでいるように振る舞ってはいるけれど、これだけでもう「私は他の子とは違う」感がすごい。

■美奈子さんが素敵。
試写会で観る前、なんとなくのイメージで(事前に情報をほぼ入れない人なので)、「大人の女が女子高生に負けるわけないだろ」的なバチバチの空気だとしんどいかも…と思っていたら、全然違いました。かわいくて、ほんのりと色気があって、繊細で、仕事もできて、素敵な女性でした(途中でうっかり香住よりも美奈子を応援してしまう自分がいた)。
そういえば、美奈子の仕事以外での服はボルドーやパープルだったと思うんですが、そういった色は葛藤を表しているとも言うので、彼女の心境に合わせた、なんていうのは深読みですね。でも、ぱっと見、普通な美奈子も心に葛藤を抱えているし、最後は彼女が最も歪な形で葛藤を抱えて終わるというのは皮肉な感じもしますね…

■「これが私の生きる道」の歌詞に驚く。
初見のときは「香住の年代でこの歌?」と思ったんですが、3回目で「あー!そういうことか!」と納得。あの部分の歌詞は香住の感情をそのままだ!と思うほどぴったり。

■段々と雑なことばに…
香住が食器を売っているお店の女性のことを最初は「おねえさま」と言っていたのに、途中で「おばさん」になるのが思わず「ぷぷっ」だった。

■香住の口元が。
香住の(というか清原さんの?)口元がすごく好き。うまく言えないけど、よく動いて、か、かわいい…。

■かばんは?と思ったら。
大野のスーツを買いに行ったときに、「かばんは買わなくていいのか?」と思ったら、後のシーンでビシッと決まったスーツ姿なのに、よれよれとしたトートバッグらしきものを肩に下げている大野が出てきて「あぁ、この姿を見せるためにかばんは買っていないのか!」と納得。スーツ姿に段々と違和感がなくなってきても、主体的に「かっこよくしよう!」という考えには全く及んでいない大野に安心しました。

■ラブホテルのシーンで個人的な思い出が…(笑)
宮本が香住をラブホテルに連れていくシーン。若い頃、ほぼ同じことばで連れて行かれたことを思い出して、「あー。やっぱりあれって常套句なんだなー」と変な笑いがこみ上げてきました。これを観た女の子が学習して騙されずに済むといいな。

■森は…
パンフレットに森の解釈が書かれていますが、私は「心の奥深く」を意味しているのかなと思ってました。
大野の心の奥深くに、最後は香住を連れていく。
そして、最初と最後が同じ場所であることで、大野が本質的には変わっていないことが強調されているってことかなぁ。
美奈子も目を閉じて森の音を想像する(街の中にある自然の音?)シーンがありますが、あれは大野が美奈子の心の奥深くにふっと引き入れられそうになっている、ということなのかなぁ…と。でも、既のところで香住によって引き戻されるわけですが。

と、そんな感じで、ばーっと書き殴りました。
あと1回くらい観に行きたいかも。