映画館に住みたい。

邦画を映画館で観るのが大好きな40代がtwitterでネタバレを書けずにblogへ流れてきました。

ネタバレあり/反復しているようで崩れている

「映画館に住みたい。」くらい映画を観たいんですけど、仕事がそろそろ忙しくなりそうな予感。


今回も『ヤクザと家族』を観ての感想とも言えないほどの、ゆるゆるとしたひとりごとです。

 

賢治が海に沈むシーンを最初と最後付近に入れてブックエンドの構成にしているというようなのと似ていて、私が勝手に面白いなと思っているのは「反復しているようでいて、反復ではない(崩れている)」というシーンがたくさんあること。時間経過と変化を台詞の内容やメイク・衣裳以外でも感じ取れて好きです。そして「反復しているようで崩れている」ことが賢治の結末が平穏なものではないと予期させて終盤の苦しさを増す要因のひとつなのかな…と思います。
(でも、全部勝手な妄想です。妄想っていうか、私はそう思った、というだけ)

ストーリーに大きく関係しそうなところでいくと、

1999年】賢治がスクーターで葬儀が行われている公民館へ行く道
2019年】由香と彩が乗った車が走り去る道
(同じ道ですよね。由香たちが賢治がいる世界から出ていってしまう寂しさを感じます)

 

1999年】組事務所に初めて連れてこられ、入口付近で立ち止まって、緊張感がある室内の様子をじっくり見る賢治
2005年】出所後に初めて訪れた組事務所で、1999年と同じ位置に立ち止まって、寂寥感がある室内の様子に驚く賢治

 

1999年】侠葉会から解放された後、組長室へ入る賢治(礼儀とかなってない
2019年】出所後、組長室へ入る賢治(「失礼します」とか言えるようになってる!)
(19歳のボロボロになっていた賢治を思い出して、胸がきゅっとなります…)

 

1999年】組員でもない賢治たちのために払われた300万円
2019年】出所後のお祝いは数十万円

 

2005年】繁華街にて「稼いでいるか?」と声を掛ける賢治
     セラヴィーにて支払いを口実に難癖をつける川山、手が出てしまう賢治
2019年】繁華街にて「稼いでる?」と声を掛ける翼
     ガールズバーにてぼったくりだと騒ぐ客、頭のキレと口で解決する翼
(賢治が手が出たのは親父を侮辱されたからなので、賢治と翼の解決方法を比較するのはおかしいのですが、一応…)

2005年】組事務所のソファーから由香へかけた電話は留守電、不機嫌な賢治
2019年】組事務所のソファーから由香へかけた電話も留守電、メッセージを残す賢治
(初見のときに、ここで泣きながらも「そういや、こういう反復、結構あったな」と気づきました)

 

2005年】「なんでヤクザやってるの?」「家族だからな。なんでとかない」
2019年】「まだヤクザやってるの?」「……どうなんだろうな」
(どちらも海。2005年は夜明け前、2019年は夕方。同じで違う。)

 

2005年】柴咲「親不孝もんが」
2019年】賢治「愛子さん、大事にしろよ」
(考えすぎかもですが、事が起きた後に抱き締められて言われるのと、事が起きる前に抱き締められて言うのが、対比を感じる。けど、愛を感じるという共通点)

---3/27追記------------------------

大事なことを書き忘れていました。
【2005年】由香の職場(セラヴィー)前に押しかけて強引に連れ去る賢治
【2019年】由香の職場(市役所)の職員通用口でお仕事が終わるまでおとなしく待ってる賢治
賢治の様子が違いすぎて反復してることに気付かず、今日観ている最中に「あ。」と思いました。
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ここから先はストーリーに大きく関係があるわけではなく、こじつけっぽいのも一部ありますが、

2005年】ホテルの部屋で由香の服を脱がそうとする賢治 と
2005年】由香の部屋で服を脱がす賢治 の脱がし方が同じですよね
(これはきっと意図はないんだと思うんですが、「ホテルのシーンの服、こんなにするっと脱げるか?ひょっとしてふたつのシーンを重ねて見せたくて敢えてそうしたの?」と思ってます。あのときとこのときの違いを一層感じられるので好きです)

1999年】父親の祭壇に手を合わせもしない賢治
2019年】大原の墓で丁寧に手を合わせる賢治
(父親の葬儀のシーンの音声ガイドで「手も合わせない」みたいな説明が確か入っていて「言われてみれば。手も合わせないのは憎しみが大きいな」と思いました。これによって大原の墓のシーンが引き立つような気がする)

 

1999年】「お前は父親みたいになるんじゃねーぞ」という大迫の台詞
2019年】経緯は全く違うけれど、父親と同じく海に沈んだ賢治

 

 1999年】オモニ食堂で「今日はちゃんと払うから」と言うくらい毎回は払っていないらしい3
2005年】ビール3杯に1万円を置いて出ていく3
(細かく勘定しているのは画的にかっこよくないからかもしれませんが。2019年の賢治が「今日はいいよ」と言われても律儀に払う様子も、19歳のあの頃との違いを感じる

 

1999年】侠葉会から解放された後、中村が運転する車の窓から外を眺める賢治
2019年】出所時に中村が迎えに来た車の窓から外を眺める賢治


と、ざっと思い出せるだけで(大きなエピソードは除いて)これくらい。

うまく言えないんですけど、話は直線的に進んでいってるんだけど、反復のようなシーンで1999年や2005年をふわっと思い出して、記憶が濃くなる…みたいな。
そんなの映画表現として全然フツーじゃん!ってことかもしれないけれど、私は知識とか全然ないので、「すごいな!」と思いました。


そんな感じなんですけど。

ブックエンドで思い出したけど、海に沈むシーンが最初にあって、賢治の父親は海に飛び込んで死んだという設定なのは最初のシーンの男が賢治の父親では?と思わせるミスリードを狙う意図もあったのかな。綾野さんの体型を覚えているせいか、最初から「あ、綾野さんだ。賢治、いつ沈むんだろう?」と思ったけど、そうじゃない人からすればミスリードにもなるよな…。

と、長くなったのでこのあたりで終わります。