映画館に住みたい。

邦画を映画館で観るのが大好きな40代がtwitterでネタバレを書けずにblogへ流れてきました。

ネタバレあり/ホムンクルス、観ました

ホムンクルス』、観ました。
金曜日と土曜日で4回…底無し沼のようにハマりますね。
 
以下、ネタバレ含みます。
 
 
 
 
 
パンフレットとノベライズを読まずに映画だけで思ったことをざーっと殴り書き。全体的な感想じゃなくて、細部ばかり。話があっちこっちに飛んでます。
後日書き直す予定。
 
 
ホムンクルスは他者とのかかわりでしか生まれない歪みなら、かかわらなければ歪まない?
歪みのない人生は果たして満たされていると言えるのか?
などと考えながら観ていたら考えすぎて頭が痛い。
 
名越が伊藤の部屋の壁の小窓から顔を出すカットがめちゃくちゃ好き。名越が資料写真みたいに見える
。名越のこの経験も資料になって語り継がれてしまうのか…という、微妙に嫌な気持ちが湧くんで、好きです。
 
名越が自分でトレパネーションやるシーン、すごいな。誰も経験したことがないであろうことを表現する綾野さん…どうやってあの演技に辿り着くのかな。ほんとすごい。
そういえば、この少し前の朝チュンなシーンで名越がインナー着てるのどうなん?って思ったけど、トレパネーションのシーンで裸をがーっと見せるために出し惜しんだのか…と納得。
 
呼吸で感情を表現するのも素敵。
 
 
冒頭の手術シーンは名越?それともチヒロ?
体格的には名越っぽい気もするけど、チヒロもあり得るよな。
 
初めて伊藤が名越の車を訪れた日、名越が立ち去る伊藤を見遣るために薄くドアを開く。ドアを開いてしまった時点で、名越も実は興味があったということか。
 
伊藤の人格が二面性どころじゃなく、毎日違うのが面白い。
私もああいうところがあるので(近年随分フラットになったけれど)、他人からはあんなふうに見えているのかと興味深い。幼少期に安定的な愛着が得られないとああなる傾向はあるよね。
すっごくざっくりとしか捉えてなくて申し訳ないけど、
0日目は狂気
1日目は気だるい
2日目はややフラット
3日目はノリノリ
4日目はフラット
5日目は不安定
6日目は0〜5日目の人格の複合
6日目の混沌がすごい。成田凌、すごい。
 
名越が伊藤のホムンクルスを「何も見えない」というのはうまいな。
最初は透明人間という意味である「何も見えない」を、伊藤は「ホムンクルスが見えない」と誤解するわけで。
それが透明人間ではなく水だと気づくことで、次に伊藤の問いに答えるときには名越の左の口角は上がってしまう(嘘をつくときの癖)。
 
女子高生のエピソードの最後、車(名越にとっては胎内と同じ)の窓に彼女の血液がべったりと付着して、その向こうに満月が見えるのが女性の表現としてシンボリックな感じで好きだな。
その前のシーンで、名越は、月を左目で見て、月は月だと言うけれど。この車窓のカットでは、人間以外を見るときであっても、どういう想いを重ねて見るかで意味が違うんだっていう…それを名越は分かってないんだろうけど、そういうのがぶわっと湧いて、好きです。
しかも、その後で、名越は奈々子との太陽と月にまつわる記憶が蘇るわけで。ただの太陽、ただの月じゃない。名越にとっても。
 
流産して失望の末に交通事故で死んだパートナーの車に、胎内のように住む名越。
すっごい曲解すれば、彼女から生まれたい、みたいな。
あれが名越の車じゃないのが私は結構がつんと来る。
けど、最後はチヒロ乗せちゃうからそこまでの意味はないんだろうな。
最後と言えば、名越はホムンクルスが見え続けていて、他人に会わないようなところへ逃避したってことかな。

名越に着信を無視される→うろこを描く→名越を父親と同一視している伊藤。
テーブルの上の金魚は奈々子(チヒロ)か。
「もう他人じゃないだろう」と名越の車に乗せてもらった伊藤は嬉しかったんじゃないかな。
でも、名越は奈々子を家へ入れる。伊藤は名越の心に奈々子が住むことを知って恐慌状態に陥る。自分だけの名越であってほしいという願望?
 
マンションの入口が丸いのもいいな。
統一性が気持ちいい。
 
伊藤が名越の車を最初に訪れたあの瞬間にグローブボックスがばたんと開いてどこのものか分からない鍵が現れる。
あの鍵は名越と奈々子のマンションの鍵で。
閉じ込めて鍵をかけた記憶をこじ開けるのは伊藤だった、とつながるわけで。気持ちいい。
 
伊藤の部屋も胎内?吹き抜けのまるい階段が産道っぽく見えなくもない。。
でも、そこにいるのは母や女性ではなく父なのか。ううーん。
 
水の音が名越が見ているホムンクルスの外でも聞こえ始めるのは伊藤の感覚を現している?
嘔吐ではなく、溺れるあの感じ。
 
伊藤はトレパネーション手術を自分にするときに鏡の前にいるけれど、ホムンクルスが見えず、右目を縫い止めてまで見ようとしたけれど見えなかったのか。そりゃ、絶望のあまり、おかしくもなるな。
 
 
と、だーっと書き殴りました。
ちょっとすっきりした。